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ジムグリの生態と生息地
ジムグリという種名は、「地に潜る」という意味から来ています。
その名のとおり、土の中に潜ったり、穴の中で暮らしています。それゆえ、日光浴のために石垣の上などによく出てくるアオダイショウや、田んぼで餌となるカエルを探し回っているシマヘビなどに比べると、一般的な人にとって出会うことが少ないヘビです。
ですが、季節によっては、地表に出てはっている姿がよく見られます。特に秋口の山などでは頻繁に出会い、そんな状況ではアオダイショウやシマヘビよりも遭遇率が高いこともしばしば。
生息環境は、山地や丘陵地、平地や農耕地。その中でも森林や森林に近い場所に多いです。暑さに弱いヘビなので、平地より高地、暑い季節より春や秋の方が遭遇率が高い印象です。トタンや木の板などをひっくり返すとジムグリがいることもよくあります。
食べ物
ジムグリの食べ物は、ネズミやモグラなどの小型哺乳類。
ヘビの仲間は、種によって食べる獲物が限られていることが多く、ジムグリは小型哺乳類を専食します。
アオダイショウも同じく小型哺乳類を食べるヘビですが、木に登り鳥やその卵も食べ、また特に幼蛇のころはカエルなども食べます。
その点ジムグリは、小型哺乳類専門。幼蛇のころはネズミやモグラの巣穴で子ネズミや子モグラを襲い食べます。鳥を食べた例もありますが、獲物のほとんどはネズミやモグラなどの小型哺乳類です。このため、地中や穴に潜って暮らしているのです。
毒や危険性について
ジムグリには毒はありません。また、比較的おとなしいヘビであるとされており、人間に対する危険はないです。
ただ、意外とパワフルで、絞める力は強く、捕まえた時などにかまれるとかなり痛いです。
哺乳類を食べるヘビは、アオダイショウしかり、咬む力や絞める力が強い種が多いです。哺乳類は代謝が高く活発な恒温動物であるため反撃能力が高く、強い力で一気に殺さないとヘビ側が危険になります。しかし一方、哺乳類は代謝の高さゆえにヘビの絞めつけ窒息攻撃をくらうと、カエルなど変温動物に比べ短時間で絶命します。
このように恒温動物相手には絞め技が有効なので、哺乳類食のヘビは魚・カエル食いのヘビに比べ、咬む力や絞める力が強いことが多いのです。
またジムグリは、おとなしいヘビとされていますが、捕まえようとすると攻撃的になる個体も多い印象です。
さらに、つかむと身を守るために臭い液を出してきます。これが手につくと、手が臭くなります。
いずれにしても、人間側が何もしなければジムグリ側から攻撃を仕掛けてくることすることはまずありません。もし出会っても、特に用が無ければ、そっとしておいてあげましょう。
飼育は可能か
ペットとして飼育されることもありますが、高温や蒸れに弱く、また夏季には拒食をし餌付きも悪いため飼育は難しいです。特に美しくかわいらしい幼蛇を野外で捕まえると飼いたくなりますが、ヘビ飼育の熟練者でない限り、飼育は控えた方が良いでしょう。どうしても飼う場合は、温度を20~24℃くらいに保ち、土を集めに敷き、なるべく個体を触らないようにして、ピンクマウス、マウスを与えて飼育しましょう。夏に拒食をするので、春から初夏の間に十分に餌を与えておくことが重要です。
分類 爬虫網 有鱗目 ヘビ亜目 ナミヘビ科 ジムグリ属
学名 Euprepiophis conspicillatus
大きさ 全長70~100cm
分布 北海道、本州、四国、九州
すみか 丘陵地・山地・農耕地
食べ物 ネズミ・モグラなど小型哺乳類