ヒバカリ

ヒバカリ

分類  爬虫網 有鱗目 ヘビ亜目 ユウダ科 ヒバカリ属
学名  Hebius vibakari
大きさ 全長40~60cm
分布  本州、四国、九州と周辺の島々
すみか 田んぼや湿地などの水辺、森林
食べ物 カエル、魚、ミミズ

生息地と分類

ヒバカリは本州・四国・九州と周辺の島々に生息しており、田んぼや湿地、川などの水辺にいるほか、森林や草地でも見られます。活動する時間帯は朝や夕方、または曇天・雨天の日で、暑さが苦手なヘビです。春〜梅雨、夏の終わり〜秋には見ますが、真夏の時期にはあまり見かけなくなります。

ヒバカリは、日本本土に棲むヒバカリ以外にも、長崎県五島列島 男女群島の男島にダンジョヒバカリ(Hebius vibakari danjoensi)という亜種がおり、また日本以外では韓国・中国・ロシアにタイリクヒバカリ(Hebius vibakari ruthveni)という亜種がいます。

また、ヒバカリ属(Hebius)はアジア各地に合わせて40種ほどの種がおり、日本には、奄美諸島・沖縄諸島のガラスヒバァ(Hebius pryeri)、宮古島のミヤコヒバァ(Hebius concelarus)、八重山(石垣島・西表島)のヤエヤマヒバァ(Hebius Ishigakiensis)がいます。

外見と大きさ

長さ40~60cmほどの華奢なヘビで、色は茶色~灰褐色です。目の後ろに白〜薄い黄色の模様が入るのが特徴。

ヒバカリの顔

幼蛇は、さらに小さく華奢で、よくタカチホヘビと間違えられます。

毒はある?名前の由来からすると毒蛇のようだが…

ヒバカリとは、その名の由来が「かまれたら、命はその日ばかり」というのが種名の由来ですが、毒はありません。

ただ、捕まえようとすると体を弓なりに構えて威嚇してくるので、そのようなことから恐れられたのかもしれません。実際は手を出せば威嚇するだけでかむこともなく、危険性はありません。もちろん、山道で出会っても逃げていくだけで、こちらから手を出さなければ威嚇してくるようなこともありません。

ちなみに、ヒバカリは毒蛇ヤマカガシに近い仲間で、また、前述の同じヒバカリ属に属する南西諸島のガラスヒバァやヤエヤマヒバァ、ミヤコヒバァには毒があります(ちなみに、これらの「ヒバァ」はヒバカリの略ではなく、琉球方言の「ヘビ」のことだそうです。本土のヒバカリと似た名前になったのは単なる偶然)。

もしかすると、昔の人はヤマカガシに噛まれて死んだのをヒバカリのせいだと勘違いしたのかもしれません。

日本の近縁種が毒があるのでちょっと心配になりますが、無毒であることは研究でわかっているので、安心して大丈夫です。

食べもの

カエルやオタマジャクシ、小魚、ミミズなどを食べます。水辺のヘビかと思われがちですが、川や湿地から離れた森などでもよく見かけ、このような環境ではミミズだけを食べて生活しているようです。実際、両生類のいない離島にも生息しており、このような環境でも、ミミズを食べて生きているようです。

飼育

ヒバカリ飼育の問題は、餌の入手が大変であるということです。

エサがカエルやミミズと入手が一般的に簡単ではなく、かつそれらは栄養価が低いのかかなりたくさんあげないとすぐにやせてしまうので、飼育は簡単とはいえません。

ヘビを飼いたい人で「マウス(ネズミ)をエサにしたくない、でも魚やミミズをあげるのなら飼いやすそう」と思う人はいるのですが、ヘビ飼育は基本的に、マウスをエサに飼育できる種は飼いやすく(アオダイショウやコーンスネークなど)、マウスで飼えないヘビは飼育困難です。マウス食ヘビは、冷凍マウスを解凍して、転がしておくだけで食べます。

ヒバカリの場合は、カエルをメインの餌としたほうがいいでしょう。魚とカエルだと、カエルの方が栄養価が高いので。家の周りが豊かな自然や田んぼだらけだったり、そのようなところに日常的に行ける人であればよいですが、そうでなければ市販されている餌に頼ることになります。

店で買う餌としては、メダカ、金魚、ドジョウ、ウキガエル、ツメガエルが使えます。魚はたくさんあげてもやせてくるので、カエルをメインに、魚やミミズなども与えるようにした方がいいでしょう(市販のシマミミズはNG。林周辺などにいるドバミミズをあげる)。これらカエルメインに色々な餌を与えることがポイントです。

ケージは、ヘビとしては広めにとった方がよく、湿った場所と乾いた場所の両方をケージ内に用意してあげることがポイント。また、暑さに弱いヘビなので、涼しい場所で飼い、高温多湿にならないように気を付けましょう。

寿命

5年〜10年。野生では5年も生きれば良い方ですが、飼育下では10年以上生きた例もあります。

参考文献・おすすめ書籍