鹿児島県徳之島、天城町にあるハブ展示保管施設「ハブの館」。
その名の通りハブが飼育されており、無料で見学することができます。
しかも、他の島々に棲息するハブとは一味違う、徳之島特有の色彩を持つハブが見られるのです。
また、徳之島産のハブは、ハブの中でも最も気が荒いと言われています。
徳之島の密林に入って危険を冒さなくても、「徳之島タイプ」のハブに会える、ある意味とても貴重な施設です。
本記事では、そんなマニアック観光スポット・ハブの館の体験レポートを書いていきます。
目次(クリックで各項目にとびます)
天城町役場
やってきたのは天城町の役場。
ハブの館はなんと、徳之島の天城町の役場敷地内にあるのです。
役場の外観は写真のとおりかなり個性的で、トルコのブルーモスク?を思わせるドーム型の屋根が印象的な建物です。
この役場の右の方に進んでいくと、ハブの館が見えてきます。
ハブの館
これが「ハブの館」。
室外機などにまぎれて、役場庁舎の片隅にあやしげに配置されています。
看板には「平成6年12月 完成」と書いてありますが、「ハブの館」の字のロゴや、打ち捨てられたような雰囲気からして、もっと古い昭和の施設のようにも感じられます。
「館(やかた)」というネーミングや、ちょっとお化けっぽい雰囲気のハブのイラストからして、恐怖感を演出しているのでしょうか。
見学料は「無料」。さすがは公共施設。
奄美大島や沖縄本島などの各島にハブ展示施設はありますが、タダでハブを見学できる施設はなかなか無いのではないでしょうか。
役場なので、駐車場も広くアクセスもしやすいので、天城町にきたらとりあえず寄っておいて損はないと思います(ヘビは見るのも嫌だ、というほど苦手でなければ)。
シャッターを開けるとハブが…
ハブは夜行性で直射日光に弱いため、ハブの館は普段はシャッターが閉まっています。
このシャッターを開けて中のハブを見ます。見せもの小屋的なドキドキ感があります。
徳之島限定カラーのハブ
シャッターを開けると、立派なハブがお出迎え。
ハブは夜行性ですが、シャッターで暗くなっていたせいか、ニョロニョロと活動していました。
もしかするとシャッターをして暗くしているのは、お客さんに「ハブが活動する姿を見せるため」というのもあるのかもしれません。
上の写真のハブは、徳之島特有の色彩の個体です。
ハブは、徳之島のある奄美群島や、沖縄諸島の島々に生息するのですが、徳之島には、他のハブ生息域の個体とは明らかに色彩が違う「徳之島限定カラー」のハブが生息するのです。
奄美大島や沖縄で見かける黄色っぽいハブとは明らかに違い、先ほどの写真の個体のような淡い茶色のカフェオレのような色をしています。
徳之島には、このカラータイプだけではなく、他の島のハブに似た黄色味の強いタイプもいて、色に個体差があります。
野生のハブには意外に遭わない
奄美大島や徳之島の森にいくと、たくさんハブに遭遇すると思っている人が多いです。
人によっては、奄美・徳之島に普通の観光旅行に行くだけで「ハブにかまれるのでは?」と心配する人もいます。
しかし実際は、普通の観光旅行者であればハブにかまれるどころか、ほとんどの場合ハブを見かけることもありません。
現地の人でさえ、意外とハブを見たことがない人が多いのです。
なぜならハブは夜行性で、人と生活する時間帯が違うからです。また、夜の森を歩いても、意外と出くわすことは多くありません。
その意味で、このようなハブ見学施設で実物のハブを見ておく価値はあるのではないでしょうか。島を代表する生き物の一つですから。
ハブは猛毒の恐ろしいイメージがありますが、こうして体の模様をよく見てみると、なかなか美しいものです。
徳之島のハブは、ハブの中で一番気が荒い?
「徳之島の住民は、気性が荒い」とよく言われています。
かつてテレビでよく放映された、徳之島内の選挙戦での乱闘騒ぎや、徳之島の名物である闘牛など、徳之島の荒々しいイメージの影響なのだろうと思われます。
そんな徳之島は、ハブまでも、他の生息地のハブより凶暴であると言われているのです。
これは、徳之島住民の気の荒さのイメージからくる俗説というわけでもなさそうで、最近の研究で「奄美大島と比べて、徳之島はハブに出会う確率は低いのに、ハブに咬まれる確率は高い」という調査結果が出ていたりします。
その理由としては、徳之島は石灰石が多いため水の硬度が高いから、とのこと。硬水は気分を興奮させやすいので、徳之島ハブの性質に影響している可能性があるとか。
徳之島のハブの凶暴性は、単なるイメージの問題ではなく、科学的な根拠がありそうで興味深いです。
ハブ脱走事件
2023年11月24日、ハブの館で飼育されていた16頭のハブのうち11頭のハブが逃げ出すという事件が起こりました。掃除用の排水バルブが開いていて、そこから脱走してしまったとか。町の発表によると、一応、逃げた数のハブをすべて捕獲したそうです(ただ捕獲したハブが、すべて脱走したハブなのかは不明)
ニュースでも騒ぎになりましたが、地元徳之島の人たちは「そんな世の中全部が大騒ぎするようなものでもない」「私たちは一緒にハブと暮らしている。日常の暮らしのなかにハブがいる」「私たちは共存しているので、そう怖がる必要はない」「都会のクマに比べればかわいいもの」とのこと。
(引用元)https://news.yahoo.co.jp/articles/efa33c42fac224e413c514860b62f1b08ed0fddb
徳之島の人たちは気性が荒いというより、ちょっとのことでは動じず、そして島のものを敬う、熱い心を持った人たちなのかもしれないですね。
おわりに
ハブは、人々を容易に徳之島の森に近づかせないパワーを秘めています。
それによって、自然が守られてきたという側面があります。
そんな、徳之島の自然の守り神「徳之島産ハブ」に会いに、「ハブの館」に足を運ばれてはいかがでしょうか。