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渡嘉敷島へ渡る
高速船に乗って、渡嘉敷まで行きます。
片道2590円、30分ほどで着きます。フェリーだと、1000円ほど安いです。
沖縄料理で腹ごしらえして・・・。
高速船に乗り込みます。
船に乗って離島に行くのは、沖縄の醍醐味。
渡嘉敷島が見えてきた。
僕が行ったことのある南西諸島の島で、最も小さい島、渡嘉敷島。
色々と生物種を欲張るには、当然、地形の変化に富んだ大きい島の方がいい。
でも、小さい島ほど島っぽさを感じられるものです。
際どいピンク色のレンタカー。
しかし外観はそれなりに綺麗。
と思ったら、年式も古く、走行距離もそれなりにいっていた。
どうやら元は別の色だったものを、ピンク塗ったということみたい。
レンタカー屋さんも「ピンクなんですけど・・・いいですか?」みたいに申し訳なさそうに言う。
内装もギャルギャルしい雰囲気。
まあ、4日間よろしく。
渡嘉敷の海・阿波連ビーチと渡嘉志久ビーチ
本島よりさらに透明度の高いケラマ諸島の海。
南洋の宝石ともいうべき、ため息のでるほど美しい海・・・。
目の前にしたら、誰もが思わず走りだして飛び込みたくなるでしょう。
こんな海をしり目に、ハブやムカデの嘯く蒸し暑いジャングルに入り込んでいくのです…。
しかしこの島のジャングルの中には、この美しい海すら霞むほどの日本の宝ともいうべき貴重生物がいるのです。
南西諸島のフィールドは、総じて渓流沿いの林道がメインとしています。
本土では重要なフィールドである水田も、沖縄では限られた場所にしかありません。
かつて、私が初めて沖縄フィールドを訪れた時、水田地帯の少なさゆえどこから攻めて良いのか困惑したものです。
昔、沖縄において水田は今よりもずっと多く存在していました。
しかし昭和30年代に起こった砂糖の価格上昇に伴い、稲作農家がサトウキビ農家に転向したことや、さらにその後の本土復帰までの間、外国から安い米が大量に入ってきたことなどが影響して、水田は減少していきました。
米作りに適した温暖な地域である沖縄に水田が少ないのは意外な気がするのですが、そのような背景があるのです。
水田の多い渡嘉敷島。水田に棲息する生き物たち。
しかし、ここ渡嘉敷島は、島の面積は小さいながらも、商店や役場がある島の中心地・渡嘉敷地区に、広い水田地帯があります。
渡嘉敷島は、島全体的が森林に覆われており水量が豊富なので、稲作には適しています。
それゆえ、沖縄の離島では珍しく今も盛んに稲作が行われているのでしょう。
水田地帯を歩くと、多種多様な生き物が見られます。
渓流沿いの林道だけではない沖縄、渡嘉敷島。
渓流環境と湿地環境が隣接してコンパクトに収まっているところが、
渡嘉敷島フィールドの魅力でもあります。
サナエトンボ科の一種
テナガエビ
オカヤドカリ
シリケンイモリ
ヌマガエル
ケラマトカゲモドキ
今回、渡嘉敷島に渡った目的の一つが、ケラマトカゲモドキをデジハンすること。
ケラマトカゲモドキは、クロイワトカゲモドキの亜種の一つで、渡嘉敷島、渡名島、阿嘉島に分布しています。
環境省レッドリストでは絶滅危惧種1B類に指定され、特に渡嘉敷島以外の島では個体数が激減しています。渡嘉敷島では生息できる環境の基盤が大きいため、他の小島ほどのダメージは受けてないにせよ、やはり開発工事等のために年々減少傾向にあるといわれています。
湿潤な林で、なんとなくトカゲモドキがいそうな場所を探ってみたら、登場してくれました。
石の台座でのポーズが、海洋堂フィギュアばりに出来すぎていて、ヤラセ写真のように思われそうですが、実際、このような姿で発見したんですよ。ホントに。
この種の属するキョクトウトカゲモドキ属は、ヤモリ上科において原始的なトカゲモドキ科の中でも、さらに最も原始的なグループといわれ、ヤモリの進化を研究するにあたり重要な存在です。
いわば、ヤモリのご先祖様の生き残り的な存在です。
約1000万年前に生息していた古いトカゲモドキの仲間が、大陸から分断されたこの南西諸島でひっそりと生き残っていたと考えられています。
動きは、ダッシュすればそれなりの速さはあるものの、トカゲとしては素早い方ではなく、さらに近づいても割と逃げません。
これではヘビ類の格好の餌食になると思いますし、もともと繁殖力も高くなく、
性成熟まで2年もかかります。
一度個体数が減少してしまうと、簡単に増えていかない気がします。
幼体。写真の個体は、まだ5cmほどしかない生まれたての個体のようです。赤みが強く鮮やかな体色をしていますね。
ホオグロヤモリ
アオカナヘビ
オキナワキノボリトカゲ
ハブ
渡嘉敷集落の水田地帯。いかにもハブが生息していそうな環境。
さらに、滞在3日目には日中大雨が降り、夕方には止み、晴れ間が。
ハブがよく行動する条件となった。
夜になり、田んぼ脇の小道を車で走っていると・・・
さっそく現れた。
琉球の生態系の支配者、ホンハブ。
捕らわれてなお、人間に対しまるで下等動物を見るかのような眼差しを向ける。
人間を殺傷する力を持つやっかいな存在でありながら、1万年もの間、人間に駆逐されずに畏れられてきた、琉球の支配者としての余裕か。
ヘビ取り棒は、挟んだままヘビを固定できる仕組みになっており、
じっくり観察できるので便利。
ただひっかけるだけのスネークフックとは違う。
また、先端が鋭利ではないので、蛇を極力傷つけずに扱うことができる。
レンズ数センチまで近寄る。
もちろんカメラを一脚につけて・・・。
固定して置いておいたら、ハブがを攻撃しはじめた。
動かず、温度も感じられない金属のハブ取り棒を、自分の自由を奪うモノときちんと認識し、的確に攻撃をヒットさせてくるあたり、ただのニブイ爬虫類という印象はない。
ハブに出会うと、明らかに人間の存在をとらえて様子をうかがったり、射程圏に入ると猛攻撃をしかけてきたり、そのうちすっと引いて藪に入って行ったり・・・こちらの行動に合わせて、色々と判断しているように感じる。ハブはヘビとしては知性が高い方だと思う。