青地に黒い水玉の美麗種。日本を代表する昆虫として、よく切手のデザインになったりするほどの美しさを持つ日本固有種のカミキリムシです。
頻繁に見かけるわけでは無いものの、けして珍しい種類でもないので、ルリボシカミキリを野外で見つけてその美しさに驚く人の話をたびたび聞きます。
というわけで、今回の記事では、ルリボシカミキリとはどんな虫か、どこに棲んでいるのか、飼育することはできのか、について解説していきたいと思います。
目次(クリックで各項目にとびます)
ルリボシカミキリの分布
北海道、本州全土、隠岐諸島、四国、九州から屋久島まで広く分布しますが、西日本での分布は局所的です。
どんなところにすんでいるか
広葉樹の立ち枯れや伐採木に集まります。ブナ、ナラ、クルミ、シラカバ、カエデなどの広葉樹の雑木林に生息し、特にブナ科とクルミ科の枯死した樹木を好みます。
例えばゴマダラカミキリやシロスジカミキリなどは生きた木をかじり農林業の害虫として嫌われるのですが、ルリボシカミキリは古木をかじり産卵し、幼虫は朽木を食べて成長します。
どちらかというと標高の高い場所でよく見ます。筆者が生まれて初めてこの美しいルリボシカミキリを見たのは、小学1年生の頃、長野県の黒部ダムを見学した時でした。
しかし最近、東京郊外の平地や雑木林の近い住宅地などでも、わりと見かけます。どうやら2000年代になってから、山地から丘陵地に生息地を広げたと思われます。
写真の個体も、住宅街で近くに鉄道が走っているような、自然のフィールドではないところを歩いていたらいきなり民家の木に向かって飛んできました。
狙って採集するというよりも、運で出会うことの多いカミキリムシといえるでしょう。
大きさ
体長16-30mm。日本のカミキリムシとしては中程度のサイズの虫です。よく見かけるゴマダラカミキリより一回り小さいサイズと考えるとよいでしょう。
発生時期と採集時間帯
成虫は6月~9月頃に発生します。
時間帯としては、昼頃まではエサに集まり、その後は立ち枯れ広葉樹に移動して繁殖活動をします。エサを食べ終わった日中にルリボシカミキリがよく飛ぶと思われます。
特徴
雌雄による体色差はないですが、緑色がかった青から淡い水色まで、個体差があります。
前翅に見られる3対の黒い紋様の形・大きさにも地域変異があります。また、体全体がビロード状の細かい毛で覆われています。
触角は長く、体長の約2倍ほどまでになります。雄の方がより触角が長いです。触角は節ごとに青と黒に分けられてますが、黒い部分には毛が生えていて、膨らんで見えます。
飼い方
エサ
樹液や果実をたべます。昆虫ゼリーをよく食べるので、見た目は美麗なためいかにもはかなげですが、カブトムシやクワガタと同じような飼育方法で問題ないです。
リンゴやメロンなど果実類もよく食べます。
クワガタも同じですが、元気の無いときはオロナミンCをあげると元気になると言われます。
木や床材、環境など
ブナ、ナラ、カエデなどの古木を好むので、クワガタと同じような感覚で飼えます。
野外でルリボシカミキリがいた木や、ペットショップやホームセンターで売っている木(クヌギ・コナラ)を使うと良いでしょう。
床材も、カブトムシ・クワガタ用のクヌギマットなどを入れてあげればOKです。
葉っぱなどを入れてやると、その陰で落ち着くので良いです。隠れる場所がないと無駄に歩き回って体力を消耗しているみたいなので、葉っぱを入れて落ち着かせてやると良いです。葉っぱにとまって休憩しています。
直射日光や暑さには弱いので、なるべく涼しい場所で飼育しましょう。また寒すぎるのもよくないので、できればクーラーのきてない部屋におきたいところです。
寿命
カミキリムシは寿命が短く、飼育をしてもあっという間に死んでしまう(クワガタなどと比べても)のですが、ルリボシカミキリは他のカミキリよりは長生きなようで、夏に捕まえたら9月くらいまで生かすことも可能です。
ちなみにルリボシカミキリは、死後、急速にその美しい青さを失い茶色っぽくなってしまうので、美麗種ながら標本コレクションにはあまり向いてない種類。
生前に、その美しい姿をたくさん写真や動画に収めておくのが良いでしょう。
学名とその意味
ルリボシカミキリの学名は、「Rosalia batesi」といいます。
属名のRosaliaは美しい乙女を象徴する女性名として、この虫の美しさを表現すべく名付けられました。
種小名のbatesiは、イギリスの昆虫学者ヘンリー・ウォルター・ベイツに対する献名です。
参考文献 カミキリムシハンドブック