ヒガシニホントカゲ | トカゲとカナヘビの違い、生息地、餌や飼育について解説

ヒガシニホントカゲ
ヒガシニホントカゲ

和名 ヒガシニホントカゲ(東日本石竜子)
分類 爬虫網 有隣目 スキンク科
学名 Plestiodon finitimus
全長 13~25cm
分布 北海道、本州東部(伊豆半島除く)

トカゲとカナヘビ

日本本土で見かけるトカゲには、体にツヤツヤとした光沢のある種と、ザラザラした種の2種類がいることは一般的によく知られています。光沢のあるのが「トカゲ」で、ザラザラしたのが「カナヘビ」と呼ばれています。

より詳しくいうと光沢のある「トカゲ」には、西日本では「ニホントカゲ」、東日本には「ヒガシニホントカゲ」、伊豆半島や伊豆諸島には「オカダトカゲ」がいます。

この3種は、見た目だけではほとんど区別がつきません。本記事は主に東日本に棲む「ヒガシニホントカゲ」について解説します(西日本のニホントカゲも生態はほとんど共通しています)。

カナヘビの和名は「ニホンカナヘビ」で、日本本土ではこの一種類です(対馬や南西諸島に別のカナヘビの種が生息しています)

ヒガシニホントカゲとカナヘビ
トカゲの幼体(左手前)とカナヘビ(右奥)

トカゲとカナヘビの見分け方

体の光沢

トカゲは金属のような光沢があります。カナヘビはザラザラとしていて乾いたような皮膚をしています。

体の色

尾が青かったり、体全体が黒っぽく黄色~白色の5本スジが入っていればトカゲの幼体か若い個体です。

大人は、トカゲもカナヘビも茶色ですが、トカゲの大人は側面に黒っぽく太い帯があり、オスは繁殖期には喉がオレンジ色になります。

カナヘビの大人には細く黒い2本の帯の間が白か黄色になっています。繁殖期のオスは腹部が黄色くなります。

尾の長さ

トカゲに比べて、カナヘビの方が尾が長いです。トカゲは地表性で、石垣や開けた場所に棲み、土に潜ったりしながら生活しているのに対し、カナヘビは草むらなど立体活動のできる場所に生息しているので、バランスを取りやすいように尾が長くなっています。

ヒガシニホントカゲの餌は?

ヒガシニホントカゲ
ケラを襲うヒガシニホントカゲ

昆虫やクモ、ワラジムシやダンゴムシ、ムカデまで動物質のものなら何でも食べます。写真のように、一見口に入らなそうな大きな昆虫でも、何度もかみつぶして呑み込みます。

赤ちゃんトカゲのしっぽはなぜ青い?

ヒガシニホントカゲ

ニホントカゲの赤ちゃん(幼体)は、尾が青いのが特徴です。

大人のトカゲ(成体)になると、尾は地味な茶色に変化します。メスは、幼体の頃の色をうっすら残したまま成熟する個体もいますが、くすんだ青灰色といった感じで、幼体の時ほどの鮮やかなブルーではありません。

では、なぜトカゲの幼体のしっぽは、こんな鮮やかな色をしているのでしょうか?

これは、「トカゲのしっぽ切り」に関係していると言われています。トカゲは敵に襲われた時に、しっぽを切り(自切)、切り離されたしっぽがピンピンと跳ね回ることで敵はしっぽに目を奪われて、そのスキに本体は逃げる、という生存戦略をとりますが、しっぽが青ければ、より天敵がしっぽに注目しやすいのです。

つまり幼体は、トカゲの生存戦略「しっぽ切り」が、より効果的に働くために、しっぽが派手な色になっていると考えられています。

でも、なぜ大人になるとしっぽが青ではなくなっちゃうの?大人のトカゲも、しっぽが目立つ方が、「しっぽ切り」で天敵から逃げやすくなるんじゃないの?

実はしっぽにはもう一つの重要な役割があるのです。それは、トカゲはしっぽに栄養を蓄えられるということです。エサがとれなくても、しっぽに蓄えた栄養分を使えば多少の飢えはしのげるのです。

幼体に比べて素早く賢く丈夫になった成体は、幼体ほどしっぽ切り戦略に依存しなくてもよくなったので、むやみやたらにしっぽを切るようなことはしなくて良いのです。

一方幼体は、成体に比べて小さい分スピードも遅く、逃げ隠れる技術も未熟です。また敵となる捕食者も多く、鳥やヘビはもちろん、肉食性昆虫やムカデなど、周りは敵だらけ。また、体が小さいので身体にダメージを受けたら簡単に致命傷になってしまいます。

小さく弱い幼体は天敵に襲われることが脅威なのでしっぽ切りで逃げのびることを重視し、強く逃げ隠れも上手になった成体はしっぽは栄養貯蔵庫として使いしっぽ切りは最終手段、ということです。

トカゲの卵と、赤ちゃんの誕生

ヒガシニホントカゲの幼体

ヒガシニホントカゲは5月頃、5~15個ほどの卵を石の下などに生みます。卵の大きさは、成人の小指のツメくらい。トカゲの卵は鳥の卵のように殻が固くなく、ぐにゃぐにゃしています。母トカゲが卵を守り、卵についたゴミを舐めとったり時折卵を転がしたりして世話をします。

そして6月中旬~7月頃には、卵が孵化します。トカゲの赤ちゃんは首だけ出してしばらく目をつぶっている状態ですが、生まれる直前に魂が入ったかのようにとつぜん目を開け、あっという間に殻を破り、卵から出てきます。

卵の孵化には、土は園芸用バーミキュライトを湿らせたものを使い、カブトムシなどを入れるプラスチックのパックにフタをして湿度を保ちました。

トカゲの赤ちゃんが生まれる様は、動画でも記録していますので、よろしければYouTubeをご覧ください。

ヒガシニホントカゲの飼育

身近な生き物なので、簡単に飼えそうに思われがちですが、飼育は結構大がかりになります。

60㎝以上の水槽で飼育します。オス同士は激しくかみ合って縄張り争いし、弱い方が死んでしまうので、オスは必ず1匹だけにします。基本的に土に潜っているので、水槽には土を敷きます。

ヒガシニホントカゲの闘い
激しく争うオス(野生個体)

餌はコオロギなどの昆虫類。週に2~3回ほど、食べきれる量を与えます。餌となる昆虫はペットショップで売っているものを買って与えます。野外にいる虫を捕まえて与えることもできますが、頻繁に捕まえなくてはいけないので難しいでしょう。肉片なども慣らせば食べますが、栄養が偏るので緊急時のみにした方がよいです。また、コオロギなどを与える際も、市販の爬虫類用カルシウム剤を虫にまぶして与える必要があります。

飲み水は頻繁に取り換えるようにしましょう。

日光浴をして紫外線を浴びないと病気になってしまうので、屋外で太陽を浴びることができるようにするか、屋内飼育であれば爬虫類専用紫外線ライトを使いましょう。

美しくてかわいいトカゲの赤ちゃんを飼いたくなる人は多いですが、幼体は弱く、餌も小さいのでさらに難しくなります。特に飲み水を切らさないようにし、ペットショップで売っているコオロギの幼虫を与えましょう。

餌となるコオロギも、どうせ餌だから、といい加減にストックしておくとみるみるうちに全滅するので、コオロギも同時に飼育することになります。また餌であるコオロギにも餌が必要です。カメの餌やコイの餌など、栄養のあるものを食べさせ、また水分切れに気を付け、掃除もこまめにしましょう。コオロギのケースには紙製たまごパックや新聞紙などを入れて、コオロギが立体的に活動できるようにして、コオロギの共食いを減らすようにしましょう。

方言名「カガミッチョ」の由来

ヒガシニホントカゲを関東地方~中部地方の一部の地域では「カガミッチョ」と言います。筆者の住む東京西部でもカガミッチョと言う人は年配を中心に多く、筆者の祖母や母もそのようにいっていました。

さて、なぜ「カガミッチョ」というのでしょうか。カガミッチョと言っている人に聞いたのですが「カナヘビに比べて、体がキラキラひかっているから、鏡のようだから」と思っている人が多いようです。

しかし実は、カガミッチョは「カガ」「ミッチョ」に分けられて、「カガ」は古語でヘビのこと(ヤマカガシにその名称が残る)、「ミッチョ」はミソ・ミソッカス(小っぽけな、取るにならない)というのが語源、という説が有力です。

つまり、小さなヘビ=カガ・ミソ→カガミッチョ、というとこです。

おもしろいことにもう一種の日本本土のトカゲ類「カナヘビ」も、ヘビがつきますね。カナヘビは、昔のことばで「かな」は「可愛い」を意味していて「可愛いヘビ=愛蛇」でカナヘビになったという説があります(体色由来という説もあり)。

昔の人はトカゲを「ヘビのミニバージョン」として認識していたのですね。実際、ヘビとトカゲは同じ有隣目に属する生き物なので、昔の人の感覚は正しかったともいましょう。

ちなみに「鏡のように光るからカガミッチョ」というのもある意味では間違いではなく、そもそも鏡の語源が「カガ=ヘビ ミ=目」で、古代の丸鏡が光るヘビの目を思わせたことから「カガミ」になったという説もあります。