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モリアオガエルの繁殖時期
5月下旬。東京では、モリアオガエルの繁殖期が最盛期を迎えています。この地域では、概ねGW明けから声が聞こえはじめ、5月下旬~6月頭までが最盛期、その後も6月いっぱいは繁殖池の周りで、声を聴いたり姿を見たりすることはできます。
モリアオガエルの産卵は夜
モリアオガエルの声は日中にも聞こえますが、産卵が行われるのは夜。薄暗くなると、カエルたちの動きが活発になります。
オスがメスを求めて、落ち着きなく歩き回ったり、木々を飛び移っては、「ココッ、ココココッ」と、森や池に響くような、高音でありながらも重厚な声で鳴きます。
そんな声にひきよせられて、オスよりひと回り大きなメスが、森からやってきます。
卵を包む泡を作るため、メスは身体に水をためる
メスは一度、池の水に入り、おしりの穴(総排出腔)から水を吸収します。この水を膀胱に溜めておきます。
それは、モリアオガエルのあの不思議な泡の卵(卵塊)を作るためです。産卵の時に、吸収した水を使って、卵塊をメレンゲ状に泡立てて、あの不思議な泡は作られるのです。
やがて、卵と吸収した水で体をパンパンにさせた、グラマラスなメスが登場。大きな体を支えるために手指も大きく、立派な姿をしています。
メスは、のっしのっしと重い体を力強く支えながら、木を登っていきます。
ペアの産卵に乱入するオスたち
その姿を見たオスたちは、半狂乱で我先にと、メスに飛びついていきます。
オスメスのペアが出来上がり、葉の上で産卵をはじめると、他のオスもペアの産卵に構わず参加して、5、6匹がメスにしがみついているような状態がよく見られます。
これは、乱入オスたちが、自分の精子を泡に混ぜることで、自分の子孫を残そうとしているものと考えられています。
泡の卵から生まれてくるオタマジャクシたちは、お母さんは1匹でも、お父さんは数匹いる、異父兄弟状態になっているということですね。
よく似たカエル、シュレーゲルアオガエル
日本本土には、泡の卵を産むカエルとしてもう一種類、シュレーゲルアオガエルというカエルがいます。
モリアオガエルは、各地で天然記念物に指定されていたり、その繁殖シーンはメディアなどで紹介され、生き物好きの人以外にもわりとその名が知られているのですが、シュレーゲルアオガエルは、モリアオガエル以上に身近なカエルなのですが、いまいち知られていません。
平地の田んぼや、都市公園にまで棲息する身近なカエルなのですが、その横文字ネームから、「外来種?」などと言われてしまうことすらあったりします。
シュレーゲルアオガエルは、田んぼの畔の脇の泥の中などに産卵するため、モリアオガエルに比べると、地味な印象なのかもしれませんね。
しかし、モリアオガエルのように木の上に卵塊を産むカエルは、世界的には割と普通で、シュレーゲルアオガエルの泥の中に卵を産む方が、世界的には珍しい生態だったりします。
モリアオガエルの泡の卵塊の中には、150個ほどの卵の数が少ないが、卵の時の生存率が高い。
モリアオガエルの生息地と保護
棲んでいる場所は、生き物界隈での常識として、ピンポイントで教えることは控えることになっています。
しかし当サイトでは、公的機関や主要な団体等が生息地を公開をしている場合、その範疇を超えない範囲で生息地公開をする場合もあります。
当記事のモリアオガエルは、東京都あきる野市で撮影したのですが、市役所が生息地の乗っているマップを作製しているので、確認してみるといいでしょう。
ただし、捕獲してはいけない場所、隣町の日の出町では天然記念物に指定されているなど法的問題や、また野生動物を採集するにあたり、モラルの問題が問われるので、採集・飼育するにあたっては十分注意してください。