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LAOWA 24mm F14(2× MACRO PROBE)の概要
LAOWAとは?
LAOWA(ラオワ・老蛙)とは、中国のレンズメーカー、Anhui ChangGeng Optical Technology Company Limited(Venus Optics ビーナスオプティクス)社のレンズブランドの名称。
社名ではないのだが、日本のカメラ好きの間では、社名のような扱いで語られることが多い。
LAOWA 24mm F14はどんなレンズなの??
LAOWA 24mm F14 2X MACRO PROBEとは、2019年に発売された、まるでライフルのような形の特集性能を持つ、広角マクロレンズ。
最大撮影倍率2倍の広角マクロ撮影が可能であり、また写真のように鏡筒が長く、またレンズ面が被写体にくっつくくらいまで近くによれる。この鏡筒部分は防水設計となっている。
デジタルカメラで、昆虫や小さな生き物に近づくと逃げられてしまうが、鏡筒を長くすることによって、人間の顔や手が被写体から離れた状態で、レンズを接近させることができる。
さらに、レンズの周囲にはLEDライトがついている。
接写撮影では、レンズが影になって被写体が隠れてしまい、またピントの合う範囲を深くするため大きく絞るので暗くなってしまうのだが、このLEDのおかげで、影が無くピントが深い画像を得ることができる。
輸入販売の㈱サイトロンジャパンは、本レンズの特徴を以下のように挙げている。
・世界初の防水機能付き2:1マクロプローブレンズ(虫の目レンズ)。
創造的な作品作り、新たなイメージングシーンの発見など別世界のマクロ撮影を可能に。・細長く伸びた特徴的な鏡筒デザインにより、難しいアングルでの撮影も可能。一例として小動物が生息する洞窟の撮影、鏡筒の長さを活かして昆虫などの小さな被写体を驚かせて逃してしまうことなく撮影可能。
・マクロ撮影倍率は2倍。画角は85度。フルフレーム対応。無限遠まで撮影可能。
・レンズ先端部には、付属のUSBケーブルにより段階的に調光可能なLEDリングライトを装備。
・ライティングに便利で低照度の状況下でも柔軟に撮影できます。
レンズ内に高屈折ガラス1枚、低分散ガラス2枚を含む19群27枚の光学設計。・レンズ先端部には防水保護ガラスを装備。
・堅牢性に優れた金属筐体を採用。
株式会社サイトロンジャパン
購入および開封
購入
LAOWA 24mm F14は非常にニッチなレンズなため、日本で購入すると20万もする。
20万円という金額は、日本のカメラメーカーの結構いい純正レンズが買える値段なので、小昆虫や土壌生物などに特化したカメラマンや、よほどのモノ好きでない限り、なかなか手が出せるものではないだろう。
筆者は両生爬虫類を主に被写体としているので、本レンズが活躍する場は少なそうだが、どのようなレンズなのか非常に気になるため、ためしに買ってみた。
開封
梱包箱。
持ち運び用に、クッションつきのソフトケースとジェラルミンケースがついている。
ただ、レンズのみしか入らないので、カメラを付けたまま運びたい場合は、サイズに合わせたカメラバッグの購入が必須と思われる。
カメラをつけずに運ぶにしても、カメラとは別にこのかさばるジェラルミンケースに入れる機会は無いだろうし、単なる高級感を演出するアイテムで、実用性はほとんど無いだろう。
ソフトケースの方がまだ実用性はありそうに思えるが、野外撮影において、撮影するたびにレンズを外す、なんてことはあまりしないだろうから、これらのケースを使うくらいなら、このレンズをカメラに装着したまま入れることができるカメラバッグを購入した方が良いだろう。
暗号キー付き。確かに高価な品だが、こんなのが無い方がかえって盗まれにくい気もする。
日本語の説明書がついているので安心。右側にある2つのケーブルは、モバイルバッテリーからLEDライトに給電するためのケーブル。
LAOWA 24mm F14 外観と機能
レンズキャップ
キャップはレンズにかぶせる形になっている。取れづらくなってはいるものの、カチッ!とはハマらないので、キャップが何かとぶつかって外れてしまう可能性もある(一度、落としてしまい、危うく失くしそうになった)
レンズ周囲の補助光LEDライト
レンズと、その周囲のLEDライト。
LEDライトのケーブルは白と黒の2本が入っており、白は調光や電源オンオフができるタイプ、黒は調光も電源オフもできないタイプ。
調光できた方が便利なので、黒を予備にするのが良いだろう。しかし、これらを無くしたり壊したりした場合、このケーブルだけを買うことができるのか。買うことができる場合はいくらなのか。
そのあたりは、筆者は確認していないが、これから買う方は、輸入販売元のサイトロンジャパンに事前に確認してみた方がいいかもしれない。
白いケーブルのUSB端子部分。この端子を、モバイルバッテリーに接続し、ケーブルの逆側にあるmicroUSB端子をレンズ本体に接続し、LEDに給電する。
この端子、一見USBの端子に見えず、この端子が入る特殊なバッテリーが必要なのかと最初迷ったが、この端子をモバイルバッテリーのUSB端子挿入部分に普通に入れるだけでOK。
カメラから給電してLEDを光らせることができるのなら非常に良かったのだが…。
このモバイルバッテリーを接続するという作業が、野外で運用する際には結構面倒だ。
また、ただでさえ長くて扱いづらい本レンズに、長いケーブルが接続され、さらにモバイルバッテリーもポケットなどに入れて運用しなければならない。
レンズの長さ
レンズの長さは約40cmほど。軽くて細いが、とにかく長い。カメラにつけっぱなしでカメラバッグに入れる場合は、並のバッグでは入らない。
Lowepro カメラリュック フリップサイド500AW II 27.4L
筆者は、カメラバッグではスタンダードなLowepro フリップサイドを所持しており、その中でも最大級の500AW II 27.4Lなのだが、この巨大なバッグにすら、ギリギリ入ったという状態だった。
しかも、バッグ上部にある小物入れは取り外して、だ。長細いので横のスペースはガラ空きになるので、そこに別のカメラやレンズを入れればよいのだが、中のしきりのアレンジがなかなか難しい。
作例
オタマジャクシ
オタマジャクシの写真と動画を撮影してみた。ライティングは、本レンズについているLEDのみ。オタマジャクシはまだ生まれたばかりで、1cmほどの大きさ。
体長2.5㎜のノゲシケブカミバエ
2.5㎜しかない非常に小さなハエを撮影し、2倍マクロ能力を試してみた。
ヨコヅナサシガメ
ヨコヅナサシガメの写真と動画
生き物を撮影してみて
コバエは、ショウジョウバエのように小さなハエなので、それをこのように大きく映せるというのは、なかなか面白いと思った。
また、写真というより動画撮影に適しているかな、とも感じた。
マニュアルレンズなのでピント合わせが難しく、カメラボディは、ピーキング機能がついているものを選択した方が良いだろう。
使ってみての総評(長所・短所)
長所
- 2倍マクロという超近接撮影能力
- 防水なので、水中コンデジなどでは逃げられてしまう水の浅い淡水域の生物などの撮影ができる。
- 見た目より軽量
- LEDライトは光量も十分
- レンズ先が小さいので、穴やスキマなどにレンズを入れることができる
短所
- 長すぎて運用が大変(防湿庫やカメラバッグを併せて検討する必要がある)
- LEDライトの運用にモバイルバッテリー、ケーブルを使うのが面倒
- 鏡胴は丈夫そうに見えるが、容易に傷がつく
- レンズ鏡胴部分にケーブル挿入端子があるので、せっかくの防水でも、その部分については濡れないように工夫しなければならない。
- 長いので、手持ちではブレる。
- 24㎜広角という平凡さゆえに、虫の目レンズ的に、虫を怪獣のように写すなどの面白い写真を撮るのにはあまり向いていない
- 高価なわりに、レンズとしての画質面はさほどよくない。
- リセールバリューが低い
感想
全体を通して良くないところばかり書いたようだが、けして悪いレンズではない。むしろ必要な人にとっては、非常に面白いレンズである。
しかしこのレンズは、小さな虫を撮るカメラマンが、ある特殊な状況(岩の中に隠れているなど)において使う、という、超尖った性能を持つレンズなので、普通の人はそうそう使う機会が無いと思う。
遊び半分で買うと、20万損することになるので、注意を込めて書いておいた。
ちなみに筆者はすで14万で売却。国内在庫が無くレアだから値段が上がると思ったが、このレンズを欲しがる人がさらにレアのようで、リセールバリューは低い。
この記事を書くために6万円を支払ったようなものだった。
本記事が、多くの皆さんの役に立つような、6万円分の価値ある情報となることを願って、レビューの閉めとしたい。
マウントは、キヤノンEF・RF、ニコンF・Z、ソニーE、ライカL、ペンタックスKの7種類
マウントは、キヤノンEF・RF、ニコンF・Z、ソニーE、ライカL、ペンタックスKの7種類。
Laowaは、キヤノンRF、ソニーE、ニコンZのような強豪マウントのみならず、将来性のあやしいマウントのレンズもラインナップしてくれる良心的なメーカーといえる。
筆者はニコンFマウント用を購入し、マウントアダプターFTZを付けて、NikonZ6で使っていた。マウントによっては在庫が無く納期がかかるようだ。
RF、Z、Lマウントは、マウント径が大きく、ボティの手ブレ補正が強力なので、ぶれやすいこのレンズには相性が良いと考えられる。
モノ好きの類です、すでに注文しました。入手はひと月ほど先の様ですが楽しみにしています。此方のレポートでこのレンズの謎の部分が解けました。小生もドアスコープを改造して虫用レンズを自作してみましたが、周辺画像の流れが残り不満でした。
大変参考になりました、有難う御座いました。
興梠博孝さま
コメントありがとうございました。このレンズの謎の部分が解けたとのことで、少しでもお役に立てたことをうれしく思います!。運用や扱いがむずかしいですが、虫の目系はそもそも自作をしたり運用が難しかったりするのは当たり前なので、よくここまで作ってくれたとも思えますよね。マクロレンズとも、ギョロメや魚眼とも違う世界を見せてくれる、唯一無二のレンズだと思います。