パナソニック LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 レビューと作例(広角マクロ撮影)

超広角レンズでありながら、0.095mという驚異的なマクロ撮影能力を持つ パナソニック LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH. H-X09

を発売日に購入し使ってみたので、初見の感想を述べたいと思います。

超広角マクロについての話が中心になります。

どんなレンズ?

LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7は、2022年6月にパナソニックから発売された、マイクロフォーサーズマウントのレンズで、パナソニックLUMIX Gシリーズ、OMデジタルソリューションズ、オリンパスのカメラで使えるレンズです。

特徴は18㎜という超広角レンズでf1.7という明るさがあり、マクロ撮影が得意な小型軽量レンズです。

その特性から、ネイチャーフォトに向いているレンズといえます。

寄れる!最短撮影距離9.5cm

このレンズはなんと、9.5㎝まで寄れ、どこまでも寄っていける安心感があります。数値はイメージセンサーからの距離なので、レンズ先端からだと1㎝くらいまで寄れます。

かつて誰もが持っていたコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)であればレンズ先端から1㎝まで寄れるなんて当たり前でした。しかし、換算18㎜の超広角接写は普通のコンデジにはできません(コンデジは通常24㎜、広くても20㎜)。さらにミラーレス一眼専用の大口径レンズで描写性能も段違い。

最大撮影倍率は0.25倍で、35㎜換算0.5倍のいわゆる「ハーフマクロ」。昆虫や花の撮影に適しているレンズです。

超広角接写のできるレンズは貴重

寄れる超広角レンズも近年では各社から出ており、13㎝や15㎝まで寄れるものもいくつかあります。ただ、超広角マクロ撮影において1㎝の差はとても大きいです。13㎝と15㎝でも、寄れる感覚がかなり違います。

なので、センサーから9.5㎝、レンズ先端から1㎝まで寄れる接写性能は、驚異的といえます。

また、魚眼レンズは、各社どのレンズも超広角マクロ撮影が得意なのですが、魚眼特有の写りなのでシーンを選びます。非魚眼の超広角レンズも、魚眼とは別に持っておきたいものです。

MF(マニュアルフォーカス)の超広角接写レンズはあるが…

他にも寄れる超広角レンズは、中華メーカーVenus Optics Laowaブランドのレンズからいくつも出ています。

しかし、こちらはMF(マニュアルフォーカス)なので、扱いがなかなか難しいです。光学的には優秀で、筆者も以前は使っていたのですが、面倒なMFのために持ち出すのがおっくうになり最近はすっかり防湿庫に眠っていました。

そして今回、Laowaレンズを売却することで、LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 を手に入れました。

「寄れる」「非魚眼」「AFが効く」を兼ね備えた、超広角レンズ

「寄れる」「非魚眼」「AFが効く」の3拍子そろったレンズはなかなかなく、LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7の他には、例えば

キヤノンEF-M11-22mm F4-5.6 IS STM(換算17.6mm相当 最短撮影距離0.15m)

タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD(換算16.5mm相当 最短撮影距離0.15㎝)

キヤノンRF16mm F2.8 STM(フルサイズ16mm 最短撮影距離0.13㎝)

などがあるものの、やはり最短撮影距離に関してはそれらを圧倒しています。LAOWAのMFレンズ級に寄れて、しかも優秀なAFがついているという、唯一無二の存在です。

カブトムシ♀を撮影

軽い!135g

筆者の場合、小型ボディのPanasonic LUMIX GX7mk3に装着しているのですが、コンデジ感覚で持ち歩くことができます。

フィールドを歩きながら、片手で持って風景をバシバシ切り取る、なんて用途にも向いています。スマホでもできますが、起動に数アクション必要でグリップしづらいスマホよりやりやすいですね。

また、超広角マクロ撮影で生き物を撮影する場合は、撮影の難しい場所にいる生き物にギリギリまで近づく必要があります。

そのようなシーンの時には、撮影の際にきちんとカメラをかまえてファインダーをのぞいて…なんてことはできず、液晶を見ながらカメラを持った的を伸ばして撮影、といったスタイルになります。そんな時に、この軽さは生きてきます。

LUMIX GX7mk3に装着

小さい!6.0cm×5.2cm

超広角マクロ撮影で撮影する際、いくらレンズの接写能力が高くても、レンズやカメラボディが大きく邪魔になってしまっては、被写体周辺のモノにレンズやカメラがぶつかって、対象物に接近できないことがあります。

例えば作例ジムグリ(ヘビの一種)でも、もし大きなカメラ、大きなレンズであったら、地面にカメラを押し当てて撮影しても、ジムグリと同じ高さに光軸を持っていくことが物理的に不可能となってしまいます。

この小型なLeica9㎜と小型カメラボディを組み合わせると、カメラの底面からレンズの中心まで3cmほどになりますので、木にとまっている生き物、地べたにいる生き物を撮る際にカメラやレンズが邪魔になることが少ないです。

ジムグリ
ジムグリを撮影

f1.7の明るさ

明るい超広角ということで、星空撮影に使えるレンズです。

筆者は、超広角マクロ撮影で背景をぼけないように絞って撮影するので、明るさをそこまで必要としていなのですが、やはり明るさが必要なシーン、ボケが必要なシーンはあるので、f1.7は重宝します。

画質とAFも良好

他のレンズとの比較など詳しい検証はしていないので主観になってしまうのですが、接写で撮影した昆虫の顔や体毛を拡大してみると、非常にシャープに写し出されています。風景ももちろん良いのですが、接写において特に高い解像感を発揮するレンズだと感じます。またAFも非常に早く、パナの名作レンズLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm と比較し同等の性能と感じます。

LEICA銘でデザインも良いが、プラ製で高級感にはややかける

Leicaお墨付きレンズ特有の素敵なデザインではありますが、軽量性を重視したのでプラスチックで、Leica銘レンズとしては少々安っぽく感じます。LEICA12-60㎜や50-200㎜が金属製でずっしりしており触るとひんやりした感触だったので、買う前にはその質感を想像してしまっていたゆえに。ただ、実用性としてはプラでも問題ないどころか、むしろ軽い方が、小型レンズの長所を発揮できるので、ここは欠点とはいえず、むしろ長所ともいえるかもしれません。

18㎜は超広角としてはやや狭い画角か

14㎜~16㎜の超広角レンズや魚眼レンズで超広角マクロ撮影すると、パースの利いた風景を広々と入れたダイナミックな写真となります。

18㎜だと、入る風景はそれらよりやや狭くなります。

その一方、誇張しすぎる写真にならないので被写体と風景をかっちりと入れた実用的な写真になりやすいともいえます。

個人的には、20㎜のレンズだと超広角接写にはやや物足りないけど、18㎜だとちょうどいいかな、と感じます。

最短撮影距離9.5㎝まで寄ると影ができる

広角接写の際はストロボでライティングし、影をとることが必要となります。

ただ、LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 はレンズが小さいので、あまりギリギリまで寄らなければ、広角マクロ系のレンズとしては、意外に影ができにくいレンズであるとも感じます。

このレンズに合うボディが待たれる

筆者はGX7mk3につけているのですが、このレンジファインダー風のデザインがなかなかよく、液晶がバリアングルではなくチルト液晶なので、光軸がズレず広角接写向き。

ただ、この機種は2018年3月発売でセンサーなど色々と古い。他にもOlympus E-M5mk3やPanasonic LUMIX G100など小型機はあるがやはり前時代的です。

最新のGH6やOM-1はボディが大きくてこのコンパクトなレンズには不釣り合い。

GH6やOM-1の技術を継承した、見た目も素敵な小型機が発売されたら、LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH. H-X09の魅力はさらに増すでしょう。

結論:非常におすすめのレンズです!★5!

広角接写目的でLEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 を購入してみましたが、一眼を持っていない頃に1㎝マクロ機能のついているコンデジで、虫などにギリギリまで寄っていく感覚を思い出させてくれるレンズでした。しかも超広角で風景を広々と入れることができ、写りも非常によい上、手の出しやすい価格。

Panasonicのレンズは新商品が出てもあまり販売ランキングや注目度が高くなることはないのですが、このレンズは売り切れで入荷待ち、価格.comのランキングでも1位を獲得していました。

虫や花、小動物に接近して風景と一緒に撮影したい!というパナソニックやOMデジタルソリューションズ(オリンパス)のカメラユーザーには、ぜひ使ってほしいレンズです。

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プロカメラマンとして、LUMIXアカデミーのカメラ講師としてご活躍されている森脇章彦先生推奨のプロテクター。ちょっと高価ですが広角接写するなら頑丈さと撥水防汚は必須のスペックです。筆者も、このツイートを参考にし購入しました。