氷河期の忘れ形見、クモマツマキチョウを北アルプスに追って。

P1250491

6月3日。北アルプスの麓に、クモマツマキチョウを狙いに行きました。

クモマツマキチョウはいわゆる高山蝶の一種で、日本では南北アルプスなど限られた高地帯に棲息する幻の蝶です。

朝5時に東京・福生市を出発し、9時30分に現地到着。気温12度と、この時期にしては寒い。

地元が夏のように暑いので、油断して薄着で来てしまった・・・。

しかし気温が低いと、蝶の動きが鈍く、とまっている姿を撮影するだけなら、むしろ好都合。

・・・とはいえ飛ばないので、見つけることができない。

この蝶を目的とした蝶屋さんたちがたくさん来ている。

一緒にいる蝶屋の仲間は道行くカメラ担いだ人と「今日はいない?」『ダメですねえ』

などと話している。ここでカメラかついでいる人はこの蝶狙いの人しかいないので、それだけで話が通じてしまうということらしい。

さて、そんな悪条件ではあったものの、1匹、クモマツマキチョウが飛んでいるの見つけた。

位置的に近づけなかったので、ニコンD7000 300㎜F4単+テレコン1.4 640㎜相当で撮影。

kumomass

上の個体はすぐに逃げてしまったが、別の場所で、もしかすると同一個体かもしれない蝶がとまって、人だかりができていた。この時は曇って気温も下がり、じっとしていた。

ss

この蝶も、変な場所にいたので、なかなか撮りづらかった。

接近はできなかったものの、とりあえず、羽の表と裏を記録できたので、よしとしよう。

ちなみに、日本では局所的に棲息しているクモマツマキチョウだが、これは他の高山蝶と同じく、氷河期に日本にわたってきて、氷河期の終わりとともに、高山のみに生き残ったという経緯があるのだが、ヨーロッパでは割と普通に見られる蝶で、自分もフランスに行ったときにこの蝶を見ていた。

この時は、何の蝶かもしらず撮っていたのだが、今回、蝶の専門家に教えてもらったことで、長野とフランスというはるか遠く離れた場所で、同じ種を観察していたということがわかり、感慨深いものがあった。

以下の写真は、南フランス プロヴァンス地方で撮影した、ヨーロッパ産クモマツマキチョウ。

DSC_2915

オス

DSC_2251

メス