クメジマカブトムシ(久米島固有亜種)

クメジマカブトムシ Trypoxylus dichotomus inchachina(沖縄県久米島・7月)
クメジマカブトムシ Trypoxylus dichotomus inchachina(沖縄県久米島・7月)

カブトムシは沖縄や東・東南アジアに棲息する

クメジマカブトムシとは、本土に棲む私たちが一般的に「カブトムシ」と呼んでいる「ヤマトカブトムシ」の亜種です。

カブトムシというと、日本の夏の風物詩の代表というイメージが強く、日本本土固有の種類に思えてしまいます。

しかし実は、沖縄にも、姿の似た亜種が住んでおり、さらに中国やタイにまでも、カブトムシは棲息しています。

例えば、タイに棲息するツヤカブトなんて、日本から遠く離れた国に棲んでいるのに、日本のカブトムシとほとんど見分けがつかないくらいよく似ています。ラオスや中国に棲むカブトムシも、日本のカブトムシと、見た目はほとんど変わりません。

カブトムシ8亜種

日本のカブトムシは以下の5亜種に分けることができます。いずれも見た目はよく似ているのですが、体格や角の大きさに違いがあります。

日本のカブトムシの亜種一覧

  • ヤマトカブト Trypoxylus dichotomus septentrionalis
    【棲息地】本州・四国・九州・佐渡島・壱岐・対馬・五島列島・平戸島・沖縄本島(移入種)北海道(移入種)
  • オキナワカブト Trypoxylus dichotomus takarai
    【棲息地】沖縄本島
  • クメジマカブト Trypoxylus dichotomus inchachina
    【生息地】久米島
  • ツチヤカブト Trypoxylus dichotomus tuchiyai
    【生息地】口永良部島
  • カブトムシ屋久島・種子島亜種 Trypoxylus dichotomus shizuae
    【生息地】屋久島・種子島

国外には、以下の3亜種がアジア各所に棲息しています。

国外のカブトムシの亜種一覧

  • タイリクカブト Trypoxylus dichotomus dichotomus
    【生息地】中国大陸・朝鮮半島
  • ツノボソカブト Trypoxylus dichotomus tunobosonis
    【生息地】台湾
  • ツヤカブト Trypoxylus dichotomus politus
    【生息地】タイ

クメジマカブトムシ

クメジマカブトムシ Trypoxylus dichotomus inchachina(沖縄県久米島・7月)
クメジマカブトムシ Trypoxylus dichotomus inchachina(沖縄県久米島・7月)

このカブトムシは、日本本土のカブトムシに見た目は似ていますが、明らかに違う点があります。

そう、ツノが非常に短いのです。体格も、横に広く寸詰まりな感じで、全体として小型です。

本土でカブトムシ獲りをするなら、やはり大きくて、立派な角を持った個体が採集したいものです。

しかし久米島で、この角の非常に小さな一見すると貧弱で格好良くない、しかしめったに出会うことのない貴重種であるクメジマカブトムシを発見することは、最高の喜びなのです。

クメジマカブトムシは、ヤンバルテナガコガネなどと同じく、氷河期に日本が大陸と陸続きになった時に入ってきた古い時代の甲虫が、久米島に取り残されることで生き残ったものということが遺伝子を用いた系統解析によってわかっています。学術的にとても貴重な昆虫とされています。

保全の必要性

しかし、環境破壊や捕獲圧により激減しており、近年ではオークションでその貴重性から高値取引されており、絶滅が危惧されています。

本島に棲む亜種オキナワカブトムシは、ペットとして飼われていたヤマトカブトムシ(本土のカブトムシ)が逃げて、交雑による遺伝子汚染が問題になっています。

オキナワカブトムシも、本来体格が小さくツノも小さいのですが、ヤマトとの交雑により、ヤマト並に立派な個体を野外で見かけることも多くなり、深刻な状況となっています。

久米島でも交雑はある話も聞きますが、人口も島の規模も小さく、ヤマトとの交雑の話はオキナワほどは聞きません。しかし小さな島にしか棲まない種なので、あっという間に交雑して種が消えてしまう危険があります。

久米島に行った時は、林道にある街灯の下を中心に、このクメジマカブトを探してみると良いでしょう。数が少ないので、採集は慎重に。そして、オークションで売るようなことは絶対にやめましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です