東京でノコギリクワガタを採集

ノコギリクワガタ

ノコギリクワガタの生息地

ノコギリクワガタは、平地~丘陵や低山地に棲むクワガタで、高山にはあまり棲息していません。ちょうど山地に棲むミヤマクワガタと棲み分けているような形になります。

ノコギリクワガタの分布
ノコギリクワガタの分布

上の図は、ノコギリクワガタが棲息していると思われる場所を資料と個人的見解からおおまかにぬったものです。参考程度にしていただければと思いますが、要は、「クヌギやコナラの多い丘陵地帯の雑木林」に、一番よくいるということです。

東京都でいうと、狭山丘陵・永山丘陵・霞丘陵・大荷田丘陵・草花丘陵・加住丘陵・多摩丘陵。このあたりがノコギリ棲息のホットスポットということです。採集禁止の地域もあるので、気を付けてください。

ノコギリクワガタはミヤマクワガタより強い、という実験結果

近年では温暖化により、山地にノコギリクワガタが山地に進出し、ミヤマクワガタを圧迫しているという研究報告があります。

2014年当時、立命館大学で、この謎を解くべく、ノコギリクワガタとミヤマクワガタを119戦中、なんと、ノコギリクワガタが79勝し、40勝しかできなかったミヤマクワガタに圧勝したという結果になったそうです。

ミヤマクワガタは堀の深い顔でいかにも強そうでノコギリクワガタより一回り大きく、昆虫図鑑の表紙でいつもカブトムシに投げ飛ばされている写真が掲載され醜態をさらしているノコギリクワガタより強そうに見えるのですが…。

まあ、人間の用意した舞台と自然界では違いもあるでしょうし、勝敗は強さだけでなく好戦的な方が勝つというのもあるし、この結果だけでノコギリはミヤマより強いとは結論づけられません。

しかし、クワガタ類にとっては樹液酒場の奪い合いは重要な生存戦略ですし、ノコギリクワガタが増えミヤマクワガタが減っているということは、この対戦結果も、ひとつの興味深い資料になるのでは、と思います。

採集方法

ノコギリクワガタ
大小さまざまなタイプのノコギリクワガタが採れる

ミヤマクワガタ同様、採集は灯火採集が最もイージーな方法です。ノコギリクワガタは飛翔性の高いクワガタなので、よく灯火に集まります。

ですがノコギリクワガタの場合、朝から午前中くらいに木を蹴って落とすのも有効な手段です。必ずしも樹液の出る木でなくても大丈夫で、それよりは振動の伝わりやすい細めの木の方が良いです。

ノコギリクワガタは日中、木の枝や葉の影などで過ごしているので、木をキックして落とすのです。

蹴り採集は、実はクワガタ自ら落ちている

実はこのキックによる採集、人間のキックのパワーにより振り落とされているというよりは、クワガタが本能的に振動を感じると手を引っ込ませて自ら落下している場合が多いのです。

これは、クワガタにとって最も恐ろしいカラスなどの鳥類から逃げる行動なのです。つまり、木に鳥が止まった振動を感知すると、自ら足を引っ込ませて落下して身を守るのです。だから、まだ力の無い子供のキックでも、鳥っぽい振動さえ伝われば、クワガタを木から落とすことができるのです。